音楽が大好きなハナシをしよう①星野源
僕は彼のつくる音楽が大好きです。それだけじゃなくて、音楽に対する考え方や作品作りに取り組む姿勢なんかもすごく好きなんです。
今日は8月20日配信リリースされたばかりの新曲「アイデア」の話、僕が思う音楽家星野源の凄さなんかを書いていきたいと思います
《目次》
自身初となる配信限定リリース
まず今回の「アイデア」ですが、始めての配信限定リリースとなりました。その理由を源さんは自身のラジオで、「1曲でリリースしたかった。あとリリースの8月20日の瞬間にみんなに一斉に聴いて欲しいのが1番大きな理由」と話していました。
たしかに通販で買うと発売日に届きますよね。けどCDショップなんかではフラゲ日には買うことが出来たり、けどショップによっては入荷の時間も違ってみんなが手に取ることが可能なタイミングが違いますよね。
まず源さんはそこをフラットにしたかったんでしょうね。なので当然、ラジオでの事前解禁もなく、事前のMV公開も無し。
みんなが同時に共有出来て、SNSを通じて拡がり共感出来る。配信限定リリース自体は珍しいことではないけど、そこに至るまでのアプローチの仕方のこだわり1つとっても、源さんのアイデアが垣間見えます。
楽曲について
楽曲はNHK朝ドラ『半分、青い』の主題歌に起用されており、一部は4月から聴くことができました。
源さん自身が演奏する、マリンバの印象的なイントロから始まり、「おはよう 世の中」のキラーフレーズとポップなメロディに心弾みます。
日本の朝、ドラマのイメージにピッタリの1番が終わり、そこからの2番の展開に驚かされます。
1番の純粋なバンドサウンドから一転、STUTS
さんのMPC(いわゆる電子サウンド)がリズムを刻みます。音数がグッと減り更に歌詞が耳に届いてきます。
そこで歌われるのは1番の爽やかな歌詞とはイメージが変わります。どこか人間の内面、人から見えている自分とは違う、自分にしか分からない闇の部分や怒りの感情を歌っています。
2番の歌詞抜粋
おはよう 真夜中
虚しさとのダンスフロアだ
笑顔の裏側の景色
独りで泣く声も
喉の下の叫び声も
すべては笑われる景色
生きてただ生きていて
踏まれ潰れた花のように
にこやかに 中指を
多くの人がこの歌詞に救われているんじゃないでしょうか?
ただただ前向きに背中を押しますのポップスではない
1人部屋で泣いた夜も
押し殺した声も
無理矢理見せた作り笑いも
周囲の冷笑も
全てを肯定してくれる優しさと、それでも生きて行けという強いメッセージを感じるのです。
つづく道の先を
塞ぐ影にアイデアを
雨の音で歌を歌おう
すべて超えて響け
つづく日々を奏でる人へ
すべて超えて届け
とラストのサビの歌詞へ続きます。
誰にでもある、挫けたり逃げ出したくなったり泣きたくなったりする「心の影」も「心の雨」もアイデア1つで変わるんだよって言われてるような。そして《つづく日々を奏でる人》っていうのは僕たちリスナーのことで。
源さんは自分の曲を聴いてくれる、毎日を生きる全ての人に届けたいと思ってこの曲を書いたんだなと思うと、ただのリスナーですが、凄く嬉しいんですよね。
MVについて
8月20日リリースの少し後、深夜に公開になったMVでは、これまた様々なアイデアが散りばめられております。
冒頭のマリンバの演奏シーンは、アルバムYELLOW DANCERのジャケットカラーを背に。
恋。
Family Song。
と過去作のエッセンスを視覚的に取り入れながら、MVは進んでいきます。ファンが観て「あぁ!!」と気付いて少し嬉しい。これもまたアイデアの1つですよね。
間奏の16人での圧巻のダンスは、三浦大知先生
の振付。大知先生、他のアーティストの振付は初めてとおっしゃっていました。
大知先生この後少し見切れてます。笑
そしてその後おそらくCメロになると思いますが、アコギ一本のパートへ。
MVでの歌はこの場で歌われたもので、音源を当てているんではないそう。う〜ん芸が細かいです!
そしてラストのサビ。
様々な色を背に歌ってきた源さんですが、ここでは白色の背景です。僕はこれは源さんの意思表示なのかなとも思いました。
今までと、これから。
「まだ真っ白な背景に、どんな色を重ねて行くのか。これからもその色を決めるのは自分自身である。」という次を見据えたアートディレクション。もちろん僕の勝手な想像ですが!
いや〜僕は今までの源さんのMVで1番好きですね。そういう方が多い気がします!
星野源はしたたかで強欲だ。
誤解を生みそうな見出しではありますが、僕は源さんほど強欲なアーティストを他に知りません。
まず楽曲は作詞、作曲、編曲までして、いわゆる完全自己プロデュースですよね。
そして毎回発売されるシングルの中には、house verとして源さんの自宅で1人で録音した楽曲が収録されます。打ち込みの音も勿論自身でつくります。
MVも今でこそよくありますが、1番と2番の間に他の映像や音声を流す手法を最初っからやっていました。これは勿論違法ダウンロードの対策にもなるのですが、後々MV集が出せたら、買ってくれる方だけに完璧なMVを見て欲しいという源さんの想いからです。
ライブについてですが、最近のライブでは冒頭に5分くらいのボイスドラマがあるんです。その脚本も源さん自身が書いています。そのドラマからライブの本編へと繋がっていきます。
ドラマにも出るし、本も書くし…。
源さんほど、作品に責任を持って、「自分」というものを表現されている方を僕は知りません。
それは源さん自身が、ずーっとワクワクしたい、楽しみたい、そして楽しませたいという想いがハンパないからこそだと思います。予定調和が嫌いなんですよね。憧れます。
他にも聴いて欲しい曲がある
恋やSUNなどの大ヒット曲はもちろんですが、源さんの曲はいわゆるカップリングもいいし、昔の曲も、今のイエローミュージック(源さんが自身の音楽のジャンルをこう呼ぶ。日本人の自分のフィルターを通して、大好きなブラックミュージックやダンスミュージックを表現したもの)とは雰囲気は違うけど心に寄り添ってくれる曲が沢山あります。
肌
この曲は2000年代のネオ・ソウルというジャンルを源さんのフィルターを通して表現したもので、ビオレのCMソングとして使用されました。ご本人曰くバスドラを聴いて欲しいとのこと。
Night Troop
この曲もソウルでしょうね。
ライブでも演奏されます。思わず踊りたくなるビートです。
雨音
これはシングル『恋』の4曲目に収録されているhouse verの楽曲。YouTubeで視聴可能なものはライブアレンジのもので、これが堪らぬアレンジなんです。フルートやべぇです。
くだらないの中に
2011年リリースの自身初のシングル。
弾き語りの人気曲で、今でもライブで演奏されています。
ギャグ
2013年リリースの自身5枚目のシングル。
病気療養後のリリースとなり、亀田誠治さんによる編曲で、そのためアルバムには未収録。アルバムに入れる曲は全部自分で編曲したいとの想いから。いやー天晴れです。
まだまだありますが、今回はこのへんで。
長々書いてしまいました。疲れました。
寝よう寝よう。
おはよう 真夜中!